国際空港ターミナル運営
Section 01 — Challenge課題
定時運航を脅かす保安検査場の混雑
羽田空港ターミナル規模のハブでは、出発保安検査場と到着バゲージクレームの混雑が、顧客満足度だけでなく定時運航そのものを脅かす。
運営側が求めたスペック
- ターミナル全体の旅客動線(直進・逆行・滞留)の正確な把握
- 保安検査場のスループット(単位時間あたり処理能力)の定量計測
- 空いた準備台へのリアルタイム誘導
カメラ単独では成立しないグローバル基準
ダラス空港など海外ハブでは、Outsight社などが数十億円規模のLiDARシステムを導入する事例が相次ぐ。保安検査場スループット計測におけるLiDARの優位性は、事実上のグローバルスタンダードになりつつある。
アプローチ
ターミナル全体を分散LiDARで覆う
水平視野360度・屋内適性の高いLivox Mid-360をベースに、ターミナル内に60〜80台規模のセンサーを分散配置。プロジェクト規模は5,000万円〜1億円超。
HULIX独自アルゴリズム:人と手荷物を同時識別
空港特有の課題は、旅客と手荷物を別エンティティとして同時追跡することだった。点群データから以下の特徴を組み合わせて識別している。
- 形状プロファイル:剤体(手荷物)と有機体(人)の点群分布の差
- 時系列の追従関係:1〜2m以内を一定速度で追従する剤体を手荷物と紐付け
- 多形状対応の追加学習:硬質キャリー、ソフトキャリー、リュック、ベビーカー等をチューニング
エッジ完結のフェイルセーフ設計
誘導ディスプレイへのリアルタイム配信のため、点群処理はクラウドではなくターミナル内のエッジPCで完結。ネットワーク断でも、「待機時間表示の段階的劣化(最新値→過去平均→静的案内)」というフェイルセーフ動作を実装している。
成果
スループット定量化と動的誘導の実現
分単位スループット計測
各保安検査レーンを通過する旅客数を分単位・台数単位で実測。ピーク時の処理能力、待機列の長さと待機時間、ボトルネック発生時刻を定量把握。
準備台への動的誘導
旅客の進行方向と各レーン待機列をリアルタイム計測し、空いているレーンへ誘導ディスプレイで指示。閑散レーンと混雑レーンの平準化で処理能力が向上。
ターミナル全体の動線ヒートマップ
入口から出口、ゲート、店舗エリアまでのフローをヒートマップ化。逆行動線検出、店舗ゾーン滞留分析、迷い動線の特定を提供。
他社との決定的な違い
1. 自社AIモデルで「人と手荷物」を同時識別
他社ソリューションは「人」のトラッキングに特化しているが、HULIXは自社AIモデルで人・手荷物・ベビーカー・車椅子等を独立エンティティとして同時追跡。和装の風呂敷包みや特殊スポーツケースなど現場固有の形状も、追加学習で高精度に検知させられる。
2. 空港特化の大規模分析テンプレート
保安検査スループット、手荷物追跡、ターミナル動線、逆行検出といった空港特有の分析パターンをテンプレートとして保有。60〜80台規模をPTP同期と複数機キャリブレーションで本番運用した実績がある。
3. 誘導ディスプレイとAPI連携を標準装備
計測データをリアルタイムで誘導ディスプレイ・オペレーションセンターへAPI連携し、既存の運用システムにそのまま組み込める。複数ベンダーシステムが入り交じる空港现場でも、APIファースト設計でスムーズに接続させられる。
