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Section 01 — Challenge課題
LiDARの「中身」を理解せずに導入してはいけない
LiDAR人流解析導入でよく起きる失敗は、ベンダー提案を「ブラックボックス」のまま受け入れてしまうことだ。LiDARはToFという物理現象を利用したセンサーであり、原理・特性・限界を理解しないまま運用を始めると、想定外のシーンで精度が出なかった時に対処できない。
本稿では、HULIXが現場で蓄積した知見を元に、LiDAR人流解析の技術スタックを「原理」「ハードウェア」「処理ソフトウェア」「インフラ」の4層で整理する。
アプローチ
4層スタックの全容
1層目:物理原理(ToF)
LiDARはレーザー光を発射してから対象物に反射して戻るまでの時間を測定し、距離を算出する技術。光速は既知なので、往復時間から距離が直接逆算できる。
走査機構(メカニカル回転、MEMS、フラッシュ等)と組み合わせて空間の各方位距離を取得することで、3次元距離マップ(点群)が得られる。重要なのは、カメラのような「画像処理を経た推定」ではなく、物理現象そのものの直接計測であることだ。
2層目:ハードウェア選定
- 点群レート(points/sec):高いほど細かい動きが追える。Mid-360で約20万pps、上位機種で200万pps以上
- 視野角(FoV):屋内設置では水平360度を持つMid-360が有利
- 測距距離:屋内10m級、屋外40m級、長距離100m超まで機種別に存在
- 反射強度(Intensity):物体の素材・色を間接判別する手がかり
3層目:点群処理ソフトウェア
- 背景差分:静的な構造物を学習し、動的物体のみを抽出
- クラスタリング:DBSCAN等の密度ベースクラスタリングで点群塊を個体に分離
- 追跡(トラッキング):カルマンフィルタ等でフレーム間同一個体を紐付け
- 分類:個体の形状・サイズ・反射強度から「人」「手荷物」「車両」を判別
4層目:エッジコンピューティング基盤
大量の点群データをクラウドへ送信して処理する設計は、帯域・遅延・コストどの観点でも非現実的。HULIXは現場LAN内のエッジPCで点群処理を完結し、結果データのみをクラウドダッシュボードへ送る構成を標準とする。
成果
機種選定の実践基準
Livox Mid-360(屋内汎用)
水平360度視野・10m級測距・コンパクト筐体で、屋内人流解析の事実上の主力。天井設置で店舗・オフィス・空港待合エリアに広く適用可能。人体スケールのトラッキングには十分。
Hesai系(広域・長距離)
40m〜100m超の長距離計測が可能で、屋外広場・大型ターミナル・ドローン搭載に適する。新機種JT-16等は商社経由で販売延期等の動きがあり、調達時には最新一次情報の確認が必須。
選定の判断軸
- 屋内・小〜中規模:Mid-360複数台。コスト・設置容易性が最良
- 屋内・大規模(空港・駅):Mid-360を数十台規模。NTP/PTP同期と複数機キャリブレーションが必須
- 屋外・広域:Hesai長距離機を主軸に、補助でMid-360を境界に配置
- UAV搭載・移動計測:軽量・耐振動の小型機種を選定
処理基盤の構成
エッジPCのスペック目安
4〜8台のLiDARを束ねる場合、GPU搭載産業用PC(Jetson AGX Orin級〜RTX系搭載デスクトップ)が現実解。10台超は処理ノードを分散。
クラウド側ダッシュボード
「ひとなびStudio」等のSaaSダッシュボードと連携し、可視化・KPIモニタリングを提供。生データ・集計データはAPIまたはCSVで顧客側へ常時エクスポート可能。
他社との決定的な違い
1. 自社AIモデルと追加学習で現場適合
他社はハード販売主軸・ソフト主軸のどちらかに偏るが、HULIXは自社AIモデルを社内に保持し、人以外の物体検知・追跡ができる。現場固有の物体・形状・反射パターンに合わせて追加学習させることで、複雑な環境でも高精度検知を実現できる。
2. 業界別の分析テンプレートをスタック
小売・空港・駅・公共空間・観光といった業界ごとの分析パターンをテンプレート化して保有。他社は汎用点群処理ソフトだけを提供するが、HULIXは現場課題に上からフィットした出力を初日から提供できる。
3. HULIX TWIN・Report生成システムとの組み込み
取得した点群・動線データはHULIX独自のデジタルツイン基盤と、Report自動生成システムにシームレスに組み込める。計測ダッシュボードを見て終わりではなく、空間そのものをツイン化して施策シミュレーションへ繋ぎ、運用レポート・行政向けエビデンスレポートまでを自動出力できる。点群解析からレポート提出までを一気通貫で担保するのは、HULIXが社内に技術スタックを揃えているからこそ可能だ。
